メタボリツク・シンドロームの治療の基本は、内臓脂肪型肥満の改善です。内臓脂肪型肥満では、肥満細胞から糖代謝に関わるホルモンであるインスリンの働きを妨げる物質が分泌され、インスリン抵抗性を生じ、高血糖となります。また、血液中の中性脂肪が増えるため、脂質異常症(高脂血症)が引き起こされます。更に、インスリン抵抗性の状態が続くと、血糖値を下げようとしてインスリンの分泌が過剰になるため、血液中のインスリン濃度が高くなる高インスリン血症が起こります。高インスリン血症になると、腎臓でのナトリウムの再吸収が促進されるため、循環血液量が増加して血圧が上がり、これが長く続くと高血圧になります。このように、内臓脂肪型肥満は、インスリン抵抗性と高インスリン血症を介して、高血糖、脂質異常、高血圧を引き起こします。この連鎖の悪循環を防ぐには、その起点となる内臓脂肪型肥満を、食生活の改善や適度な運動によって改善していくことが重要になります。